バイクツーリングの行き先として、海沿いのルートを選ぶ方は多いのではないでしょうか。キラキラと輝く水平線を眺めながら潮風を切って走るのは、ライダーにとって最高の贅沢です。しかし、せっかく海まで来たのなら、美味しい海鮮丼を食べて帰るだけではもったいないかもしれません。
港町にある市場や鮮魚センターには、スーパーではなかなかお目にかかれない新鮮で安価な海の幸が溢れています。クーラーバッグ一つあれば、その海の恵みを自宅へ持ち帰り、家族みんなで楽しむご馳走に変えることができます。
今回は、ツーリングの楽しさと家族サービスを両立させる、港町の市場での食材探しの魅力と、バイクで安全に持ち帰るためのコツをご紹介します。
市場ならではの活気と対面販売の楽しさ
港町の市場に足を踏み入れると、まずその独特の活気に圧倒されます。威勢の良い掛け声が飛び交い、所狭しと並べられたトロ箱には、その日の朝に水揚げされたばかりのピカピカの魚たちが並んでいます。
スーパーマーケットのパック詰めとは違い、魚が丸ごとの状態で売られている光景は、見ているだけでもワクワクするものです。ここでの一番の楽しみは、お店の人との会話です。見たことのない魚を見つけたら、どんな味がするのか、どうやって食べるのが一番美味しいのかを遠慮なく聞いてみましょう。
漁師町ならではのシンプルな調理法や、地元の人しか知らない絶品レシピを教えてもらえることもあります。
また、市場での買い物は、単なる食材調達以上の体験価値があります。どんな場所で、どんな人から買ったのかというエピソードそのものが、食卓での最高の調味料になります。
パパやママがバイクで遠くの港まで行って選んできたというストーリーがあれば、子供たちも興味津々で魚料理を食べてくれるかもしれません。
普段は魚離れが進んでいるご家庭でも、イベント感のある市場の魚なら箸が進むこと間違いなしです。値札のついていない魚を交渉して安くしてもらったり、オマケをつけてもらったりするのも、対面販売ならではの醍醐味と言えるでしょう。
狙い目は調理しやすい旬の魚と干物
バイクでの持ち帰りを考えると、マグロ一本のような巨大なものは難しいですが、家庭で扱いやすいサイズの魚はたくさんあります。特におすすめなのが、その季節ごとの旬の魚です。旬の魚は脂が乗っていて美味しいだけでなく、漁獲量が多いので価格も手頃です。
もし、自宅で魚をさばくのが苦手だったり、ウロコや内臓の処理でキッチンが汚れるのが嫌だったりする場合は、購入時にその場で下処理をお願いしてみましょう。
多くの市場では、三枚おろしや内臓処理などのサービスを行っています。プロの手で処理された魚なら、帰宅後は焼くだけ、煮るだけで済むため、夕食の準備も驚くほどスムーズになります。
また、生魚の持ち帰りに不安がある場合は、干物や加工品を狙うのも賢い選択です。港町の干物は、天日でじっくりと干し上げられているため、旨味が凝縮されており、スーパーのものとは一味違うふっくらとした食感が楽しめます。
冷凍状態で売られていることも多く、保冷剤代わりにもなるため一石二鳥です。アジやホッケの開きはもちろん、イカの一夜干しやシラス、カマボコなども、バイクのトップケースやバッグに収まりやすく、パッキングの難易度が低い食材です。
これらは日持ちもするので、当日の夕食だけでなく、翌日のお弁当のおかずや、週末の朝食など、長く楽しめるのも嬉しいポイントです。
鮮度をキープし汁漏れを防ぐパッキング術
海産物をバイクで持ち帰る際に最も重要なのが、鮮度の維持と汁漏れの防止です。車と違って空調の効いたトランクがないバイクでは、エンジンの熱や直射日光の影響を受けやすいため、しっかりとした対策が必要です。
まず準備したいのが、断熱性の高い保冷バッグです。ハードタイプのクーラーボックスがあればベストですが、積載スペースが限られる場合は、厚手のソフトクーラーバッグでも十分対応できます。
市場には氷を用意しているところが多いですが、溶けた水が漏れ出すと大惨事になるため、氷は必ず二重にしたビニール袋に入れ、口を固く縛りましょう。ロゴスなどの保冷力が強力な保冷剤を自宅から持参するのもおすすめです。
そして、ライダーにとって最も恐ろしいのが、魚のドリップや氷水がバッグ内で漏れ出し、愛車やライディングギアに魚臭い匂いが染み付いてしまうことです。
魚自体をビニール袋に入れて密閉し、さらにそれをジップロックなどの密閉袋に入れる「二重・三重の防御」が鉄則です。バッグに入れる際は、エンジンの排熱が伝わりにくいトップケースや、バッグの上部に配置するように心がけましょう。
また、振動で魚の身が崩れないよう、タオルなどで隙間を埋めて固定することも大切です。手間はかかりますが、このパッキングさえクリアすれば、自宅で待つ家族に、港町の味をそのままの鮮度で届けることができます。
苦労して運んだ新鮮な魚を囲んで、家族みんなで舌鼓を打つ時間は、ツーリングの疲れも吹き飛ぶほどの幸福感を与えてくれますよ。
